第2次大戦中に女性たちが作ったGibsonギター。「優秀な品はギブソン製品のみ」という期間限定バナーが見える。 |
第二次世界大戦中、男性たちが戦地に赴きました。そして、働き手を失った職場には、女性たちが進出し、その仕事を担いました。これは全米で起こった現象で、戦後の女性の社会進出に大きな拍車をかけた出来事です。Gibsonの工房もそのひとつ。
詳しくは、近刊書『Kalamazoo Gals』
◆VOA記事から:(和訳)
ギブソンギターの過去の女性たち
The Women of Gibson Guitars' Past
第二次世界大戦中、戦地に赴き職場を去ったアメリカの男性たちにかわり、女性たちが残された仕事場の穴を埋めた。女性たちは工場、店、造船所で働いた。その中に、ギブソンギターを作る仕事をした女性たちがいた。
今日は、この話を少し詳しく紹介しよう。
現在90歳のアイリーン・スターンズさんは戦時中、数年間この工場で働いたことがある。
「高校を出てみんな職探しをするけど、仕事がなかったの。するとある日、声をかけられてギブソンで働き始めたのよ。それって、戦争のせいね。」
ジョン・トーマスがミシガン州カラマズー郡で探し出した、旧ギブソン工房の労働者たち。その一人がスターンズさんだ。彼女は、1940年代に同工房が生産した数千本のギター用に絃を作っていた。
「有名人やギターを求める人たちがよく来たわ。彼らは壁の向こう側にいて、私はこちらで絃を製造してた。絃作りは本当にいい仕事だったわよ。だって、彼らが美しい楽器を全部奏でるのが聞こえてきたんだもの。」
ジョン・トーマスはギブソン工房で働く女性たちを「カラマズー・ギャル」と名づけて呼ぶ。この呼び名は、女性ギター職人たちについて書いた彼の新刊書のタイトルでもある。女性が働いた事実をギブソン社は秘密にしてきたものと、彼は考えている。理由は、女性が組み立てた楽器では、売れないし使ってもらえないのでは、と会社が思っていたと考えられるせいだ。
執筆のため、トーマス氏は、大戦中作られたギブソンギターを3本買い集め、数本を借用した。すると友人がローレン・シーハンというプロミュージシャンが手伝ってくれる、と紹介してくれた。
「トーマスさんが”この事を記録しようと思ってるんだが”とおっしゃったんです。その時、これが全部女性の話なので、もし女性がギターを弾いたらカッコイイだろうな、と思いました。このアイデアはどんどんいい方に発展して、大きなプロジェクトになる気がしました。。案の定、彼はアイデアを支持してくれました。伝統的男性支配の職場で女性が勝る、という話を音楽で私が擁護します。」
ジョン・トーマスの本につけられる新しいCDでは、戦時中人気のあった歌をローレン・シーハンが演奏している。各曲、異なるギブソンギターで演奏されていて、一曲を披露してくれた。
ローレンは歌の録音を終えると、修復済みギブソンギターを自分用に一本購入した。
アメリカの音楽遺産だから、そのひとかけらでも手にしたい、と彼女は語る。
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アメリカ史上、この時期に工場で働いた女性たちを英雄視した呼び名、
Rosie The Riveter を思い出しました。次の絵は特に有名な「リベット工」ロージーです。
実際の写真