2012年7月30日月曜日

ボーイング:速弾き/美しい音

フィドルの運弓について、認識を新たにすることがありました。
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発端:
知り合いのログハウス・カフェのマスターは大のブルーグラスファンです。風の便りに、お店が引けると、フィドルの練習に余念がない…という話が伝わっていました。
最近、そのカフェに一服しに行った古い友人から、電話があり、
「店がひける頃、フィドル弾きにこない?ってさ」とのマスターからの伝言。

お手前拝見…と、安物のマイフィドルを抱えて行ってみました。
ちょうどいい具合に、お茶しに見えていた常連さんがギター弾きさん。ここはもう、自然な流れで、持参したカントリー曲の楽譜などで、セッションしました。
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弓談義:
マスターはクラシックの先生についていて、ボーイングについてはかなりシビアです。
(ビブラートが課題で、イマイチうまく弾けない…とおっしゃっていましたが)

彼の出す音はとてもきれいです。深くしっかりした響きの音です。
彼の楽器は中クラスの値段帯のもので、表板の木目も密です。そこに行くと、私の楽器は初心者用の低価格(アメリカ製のハンドメイド)。
しかし、音を出すのは、何といっても弓と絃の出会う部分です。

話は弓の事に集中しました。
彼が言うには、楽器の持つ可能性を最大限に引き出すのは、なんといっても弓!

弓のコンディションと奏者の技術が音を左右する、と。
弓を最高のコンディションに保つのは、メンテを専門家に任せるとして、ボーイングの技術は、とても奥の深い話になってきました。

彼の弓と比較すると、私の弓はダブルストップをやりやすいように、緩めに張っています。
彼の弓は、演奏する際、弓のたわみがなくなるくらい(毛と弓が平行線になるくらい)、毛を張っています。このことがとても気になりました。
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弓の実験:
家で弓の張り具合を何度も変えて試しました。張力が大きいほうが大きな乾いた音がでるようです。また、弓が弾んでバウンドしそうになる時があります。

演奏中に弓の張力を変えるのは無理です。
むしろ、欲しい音色を、引き出せるような、そんなボーイングの仕方があるといい…と思います。

弾きやすい…そんな弓の感触が過去に全くなかったわけではありません。

昔、分数3/4のフィドルを弾きこんでいたころ、慣れるにつれて、弓が絃に吸いつく感触を感じたことがあります。あの弾きやすさは忘れられません。
59gの軽い弓でしたが、毛が摩耗し、抜けてついにおシャカに。
毛替え?しませんでした。とても短い弓だったので…

ボーイングはどうやら、身体全体の、あるバランスがとれている状態になると、
「弓を自在に操っている」、という感覚が得られるように思えます。
(この説明…超漠然としてますね)

マスターから教わったSwallowtail Jigを二日間弾き続けてみました。
ジグはアイリッシュ独特のリズムのひとつで、6/8、9/8,、12/8拍子の3種類あります。
この曲は12/8拍子(1小節に3連譜が4つある4/4拍子と考えても同じ)です。
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速弾き/美しい音
弾いているうちに、段々速く弾けるようになってきました。
特に、トリプレット(以前にYoutubeで練習しました)を入れる部分があることが、速弾きの弓使いのヒントになりました。

トリプレットを入れる際のボーイングは、肘を動かさず、手首も安定させて、指(特に人差し指と親指/中指)のコンビネーションで素早く弓を上下させるのです。
この弾き方は、音を細かく速く刻む際の、左手の運指と右手のボーイングをうまくシンクロさせてくれる、ということに気づきました。

でも速弾きに気持ちが行くので、美しい音を引き出すボーイングになっていません。

結局、きれいな音をキープしながら、ゆっくりと正確に弾きつつ、速弾きに移行する練習を重ねることにしよう、と思いました。









2012年7月17日火曜日

ジプシー・ジャズ:雨季のごとく降るフィドルジャズ

興味を持っただけで引き寄せられるのでしょうか…?
ロマ音楽が好きですし、ラインハルト/グラッペリのジプシージャズも好きです。
一人で楽しんでいるうちは、何も起こりませんでしたが、この夏は、人に会うたびに
チェーンリアクションのように同じ音楽を好きな人、演奏する人たちに出会います。
求めよ さらば 与えられん: 自分はこれを求めていたのでしょうか…
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今週末のミニライブはマヌーシュ音楽。場所は銀座。
知人が開いた小さなカフェバーです。高校時代の友人たちと行く予定です。

下調べに出演者のギタリストの方のHPを見ると、やはりジプシージャズで組まれる別バンド仲間のアコーディオニストのリンクが。
そのリンクをたどると、自作の曲の試聴リストを発見。聞いてみました。

「思い出のミュゼット」 曲の最初の1分だけでしたが、何度も聞き返しました。フィドルやギターの伴奏の中、アコの繊細な旋律がたまらなく心に響きます。

思いました。アマチュアバンド同士で互いのライブを聞いていると、こうした音のひとつひとつに圧倒されるほどの経験は、思い返してもありません。
こんな音を紡ぎ出す人たちはどんな気持ちで演奏しているのでしょう。
これは生演奏の現場に行って確かめるしか、ありません…
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さらに。
今習っているフィドル教室の先生も、最近ジプシージャズに傾倒されていると聞きました。教室の生徒さん仲間にも愛好者がいます。8月来日のジプシーバイオリニスト、フローリン・ニクレスクさんのコンサートに行くそうです。

ふろーりん・にくれすくぅ?
早速Youtubeで聞いてみました。超絶技巧、柔らかくふくよかな音色…
昨日はCasey WillisさんのAshokan Farewellに聞き入っていましたが、
今日は椅子から跳ね上がってしまいました。
アイリッシュもブルーグラスも好きです。身体が踊ります。
でもジプシージャズは体を容赦なく揺さぶってくるパワフルさで勝っています。

スコールのようなジプシージャズ音楽…全身ずぶぬれになりそうです。
傘をささず、ぬれるにまかせてみましょうか…