2012年3月15日木曜日

完璧な楽器=フィドル

『正しい音階ー音楽音響学』という本があります。(溝部圀光著、日本楽譜出版社)

数年前、これを読みましたら、アカペラでやっているハモリが少々色あせて見え、かなりのショックをうけました。

ピアノの平均律に合わせて作り出すハーモニーは、本当に響きあうハーモニーにはならない・・・

楽器によって音階構造が違うため、アンサンブルの音を美しく合わせるのは難しいけれど、それを合わせようとするのが演奏技術だ、というのです。

正しい音階(=純正律)を奏でる完璧な楽器はバイオリン(フィドル)だそうです。

以後、フィドルから視線がそらせず、ついに一昨年、フィドルに手をのばし・・・
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このほど、『正しい音階』を読み返して納得したことがあります。

例えば、コードのE(EとBの2音)を出すため、第一指で2ー3絃を同時に抑えたとき、どうしても、指が抑えた2絃Bの位置は、3絃のEよりもナット寄りにずれます。
教則本には、指板上同じ位置を抑えるように書いてありますが、どうやっても指はその通りに抑えるのは難しい・・・。でも、ずれたまま弾くと・・・
気持ちのよいハモりを奏でます。(なぜ?)

その説明になるものを見つけました。
下の写真のEとBのポジションの違いがそれです。
The Irish Fiddle Book
by Matt Cranitch, p.46
『正しい音階』
溝部圀光著、90頁
奏でたのは「純正律」EBの心地よい響きです。

「純正律」を求める人たちが、バイオリンの伴奏に、ピアノでなくハープを使っておられることもうなづけました。

こうなりますと、様々な楽器の演奏者もみな、心地よい音を求めて、
演奏技術を磨いておられるわけです・・・分かってきた気がします。